縫製に問題はありませんが、生地に張りがなく、細かなしわも気になります。
アイロンの仕上げをして下さらなかったのでしょうか?
小さなしわは、縫製前に生地を【水通し】したためにできたものです。
水通しは、お客様がご自宅でお洗濯した後の縮み・歪みを最小限に減らすためのひと手間で、一連の作業は、次の通りです。
①必要な材料をすべて、実際より一回り大きめに裁断します。(一次裁断)
オーダー品はすべて、この反物から生まれます。
シューズバッグ1つ分の材料です。
この時点では、まだ生地が少し歪んでいますね
水につけた瞬間、生地がしゅわしゅわと縮んでゆくのが
手触りでわかります。
万が一の色うつりを避けるために、
デニムは他の生地と分けて水につけます。
③軽く脱水した後、しわを伸ばして陰干します。
タイマーをセットしておきます。
乾ききってしまうと次の作業ができなくなるからです。
④半乾きの状態でアイロンをかけて、生地のゆがみを整えます。(地直し)
生地の縦糸と横糸が直角になるよう、
生地の形を整えてアイロンをかけます。
⑤再度、実際の寸法に裁断します。(二次裁断)
これでやっと、裁断終了です。
さきほどより一回り小さく、正確な直角に裁断されています。
生地の端をロックミシンで処理したら、
ようやくここから縫製が始まります。
キッズムーンの商品が、お洗濯後にも縮まないのは、生地だけではなくレースなどの副材料すべてにこの水通し工程をしているためです。
じつは、この水通しの工程を省けば作業時間が短縮されますので、実に2倍以上の品物を作ることができます。
お店としてはその分安価にたくさんの品を販売できるので、利益も増えます。実際、市販品では上記工程は省かれることがほとんどです。
(しかし、水通しをしていない綿・麻などの自然素材は、水につけると縮みますので、【水洗い不可】のお洗濯表示となり、お客様がクリーニング代として後々まで負担することになります。)
作り手がはじめから手間を惜しまずに素材を大切に作っていれば、お客様はいつでもおうちでお洗濯できて、清潔にお使いいただけるはずの綿・麻素材。
「普段使いの物だから、多少縮んだとしても構わない。その分価格が抑えられるのであれば水通しは必要ない。」というお考えもあります。
確かに、縮むと言えども使用不可能なほど変形するわけではありません。
当店がアウトレット商品でご提供させていただいている品の中には、水通ししていないものもありますが、実際にご使用になるには問題ない場合がほとんどです。
しかし当店では、
【普段使いだからこそしっかりとした品質のものを】お求めになっているお客様に喜ばれる品をお作りしたい
価格を抑える努力よりも、時間と手間を惜しまない努力を重ねたい
そのためたとえ作れる数が2分の1、3分の1になったとしても、全ての生地、全ての材料を水通しをしてからお作りします。
商品お届け時に、生地の張りがなく、小さなしわが残っているように感じられるのは、水通しをして生地の糊がとれたため。
キッズムーンのこだわりの品質のひとつとご理解いただけましたら幸いです。
繁忙期には、様々な色柄の生地でにぎわいます。